| 骨粗鬆症という疾患は、患者数では人類最大の疾患のひとつといわれています。関節リウマチは骨粗鬆症を合併しやすい疾患です。しかし、腰痛、あるいは骨折などのはっきりした症状が生じるまでは、患者さん自身は気がつかないことが少なくありません。そこで、医師がきちんと定期的に検査をして、いかに早期に予防あるいは治療、そして日常生活の指導などを始めるかが非常に重要となります。 |
a) 漢字の意味
骨粗鬆症は『こつ・そ・しょう・しょう』と読みます。ここでは『鬆』の漢字は『しょう』と読みますが、『す』とも読みます。ダイコンなどで『すがたつ』という時に使う『す』です。つまり密度が低下した状態をあらわしています。
従って『粗鬆』は『粗』も『鬆』も同じような意味の文字を2つならべた用語なわけです。
b) 英語の意味
骨粗鬆症は英語では『osteoporosis(オステオポローシス)』と書きます。この単語の中程にある『-poro-』は英語の『pore』(意味:あな)と語源は同じです。『osteo-』は『骨』という意味です。つまりosteoporosisは、骨に『あな』が多い、ということをあらわしています。実際、昔は日本語でも『骨多孔症(こつ・たこう・しょう)』といっていました。
c) 骨を構成している細胞
骨を構成している細胞成分には、主に骨の表面にいる『破骨細胞(はこつさいぼう)』、『骨芽細胞(こつがさいぼう)』、そして骨の中に埋もれている『骨細胞(こつさいぼう)』が含まれます。破骨細胞は多核の大型の細胞で活発に骨の吸収を行っています。ここで、要注意な点は、破骨細胞は決して骨を食べているわけではないということです。削っている状態をイメージしてください。骨芽細胞は骨を作る細胞で、みずからが作った骨に埋もれて骨細胞となります。しかし、骨細胞はひとつひとつが孤立しているのではなく、ちょうど手をつなぎあったような状態で存在しています。しかも、骨細胞と骨細胞が接触しているところでは小さな物質交換によるコミュニケーションも行っており、骨細胞は骨の中で巨大なネットワークを形成しています。
d) 吸収と形成のバランス
骨は前述の細胞から構成されており、吸収と形成がバランスがとれてはじめて、骨は正常な構造と骨量を維持することができます。どちらかの数や機能が増大するか、あるいは減弱することによってバランスが相対的に吸収優位となったときに骨粗鬆症となります。
e) 骨粗鬆症の定義
骨粗鬆症の厳密な定義は『骨量の減少と微細構造の破壊により骨の強度が減少し、骨折の危険性が高まった状態』ということです。骨は量ももちろん重要ですが、構造も大切です。例えば最近話題になった建築物の強さについて思い出して下さい。建造物の強さは、鉄筋の量のみではなくその構造も非常に重要であり、骨の強度も同じです。
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a) 傍(ぼう)関節性と全身性
関節リウマチにおける骨粗鬆症は大きく分類すると、1)傍関節性と、2)全身性、にわけられます。傍関節性とは、炎症があり腫れて痛い関節の近くの骨におきる局所的な骨粗鬆症です。関節リウマチの初期に特徴的な所見の一つでもあります。全身性はその名のとおり全身に生じる骨粗鬆症です。
b) 関節リウマチにおける様々な骨粗鬆症の誘因
関節リウマチに合併する骨粗鬆症の誘因は様々です。
1)女性の場合での閉経、
2)加齢、
3)炎症、
4)動かさないこと、あるいは関節の動きが制限されていること、
5)治療によるステロイド、
など様々な複数の要因が重なっている場合があります。
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脊椎のレントゲン写真で圧迫骨折の存在、骨密度の低下などにより診断されます。骨密度の測定方法は様々な方法がありますが、当センターで行っている、DXAという方法がもっとも正確です。測定部位も、当センターで行っています、腰椎と大腿骨頚部の両者の同時測定がもっとも信頼する結果が得られます。骨密度は若年成人(20-44歳)の平均値の70%未満のときに骨粗鬆症と診断します。
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a) 薬物療法
まず食事(後述)により、カルシウムとビタミンD、ビタミンKが十分に足りている状態になることが重要ですが、食事から十分量が摂取できない時は、薬で補充します。その上で、ビスホスホネート製剤(商品名でベネット、ボナロン、ダイドロネルなど)の内服を開始します。あるいは選択的エストロゲン受容体修飾物質であるラロキシフェン(商品名エビスタ)の内服を行います。その他、適宜、カルシトニン製剤(商品名エルシトニンなど)の筋注射などを行います。カルシトニン製剤には骨を強くする作用と同時に、直接的な鎮痛作用もあります。実際の薬の選択は担当の医師とよく御相談ください。
b) ステロイドが原因の骨粗鬆症の治療
ステロイドの内服はどんなに少量でも骨粗鬆症を進行させます。したがって、ステロイドを減らすことができるときにはステロイドをできる限り減らします。ステロイド性骨粗鬆症の治療のガイドラインが最近我が国でもできました。詳細はここでは省略します。概略を述べますと、プレドニンで5mg/日以上内服するとき、あるいは骨密度が若年成人の80%未満の時はビスホスホネート製剤などによる積極的な治療を始めることを推奨しています。この点も詳細は担当の医師に御相談ください。
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(カルシウムに関しては省略します。)
a) ビタミンD
カルシウムの吸収および体内のカルシウムの維持にビタミンDは非常に重要な役割を果たしています。その役割から単なるビタミンではなくむしろ機能的にはホルモンに近い働きをおこなっているともいえます。食物では天日干しの椎茸にビタミンDは多く含まれています。通常、販売されている干し椎茸は熱風による乾燥なので、調理する少し前に日光にあてると椎茸内にビタミンDができます。青身の魚にも比較的多くのビタミンDが含まれています。
b) ビタミンK
ビタミンKは骨質の改善に重要なビタミンです。ビタミンKは納豆に多く含まれており、味噌の400倍、ひじきの800倍といわれています。しかも納豆菌は腸管内でビタミンKを産生するので摂取した後もしばらくは、ビタミンKは体内で産生されることになります。納豆についてはさらに後述します。
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1)骨密度の検査と胸椎・腰椎のレントゲン検査を受けましょう。
2)骨粗鬆症の治療は早めに始めましょう。骨折してからでは遅いといえます。
3)カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを十分に摂取しましょう。
4)ビスホスホネート製剤などを積極的に内服しましょう。特にステロイド内服中は重要です。
5)ステロイドを内服している方は自分の判断では決して量をかえないでください。
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骨粗鬆症の治療は、まず骨粗鬆症を生じさせないという点で、『予防』が重要です。さらに、骨粗鬆症対策を十分におこなうことは骨折の『予防』にもなります。関節リウマチの治療では最近、早期の治療の重要性が明らかとなりつつあります。同じように、骨粗鬆症の治療でも、早期の治療、あるいは、『予防』が重要です。なお、患者さんひとりひとりは状況がことなりますので詳細は主治医に御相談ください。
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